第三十章 おおっ、コーラスミュージカル
「雪の女王」公演、大大成功!!
2016・4・2 「雪の女王」公演 オープニング 「悲しみよ 消えて」
1.桜満開での東北の子どもたちの卒業!!
本当に4月2日(土)の、ルナホールからの芦屋川の桜は満開でした!!
「雪の女王」公演を立派に演じきったAKMYHと、成し終えて満開の花の間を歩んだ幸福感を、私たちは永遠に忘れることはないでしょう。
2016・4・2 「雪の女王」公演 AKMTH出演 左「まれ空」右「桜散る頃」・アンコールにて
彼女たちにとって関西招待公演は3度目でしたが、今回は特別の意味合いを持っていました。
それは「今回の『雪の女王』公演は、グループとして最後の卒業記念」だったからです。
でも実際に「解散」を口に出したのは、今回最後の、伊丹空港へのお別れの車の中でした。
檀・村嶋は覚悟していたことでも、「解散」という言葉はどうしても口にしたくない思いでした。
それほど彼女たちとの出会いは奇跡的だったし、5年間そこに注いだ情熱は大きいものだったと、改めて思うのです。
(今までの「活動報告」も半分以上がAKMYHとの活動でした。)
あれから2か月、関西公演での成功を糧にして、彼女たちは4人の中学生と小学4年生となって、勉強も部活も頑張り続けていることを、ご報告したいと思います。
でも陸前高田は、6年目に入る今も、赤土の<かさ上げ地>だけの街です。その「街」を見つめなが
ら彼女たちは頑張っているのです。まだ何年も<仮設住宅>にいる方も、<復興住宅>の方も
かつて神戸であった<孤独死>の状況にあるかもしれない。だからあの街の「物語」を今すぐに
はハッピーエンドとして終わらせてはいけない、「つづくの物語」でなければと思うのです。
私たちは今も、彼女たちを思い続けています。彼女たちが成長し、街の復興を支える力強い一員
になって、幸せな街づくりの完成にたどり着くまで、見守りたいのです。その日まで、くじけそうな時、
関西の私たちの支援の日々があった(あり続けている)ことを力にして欲しいと願っています。
今、私たちと繋ぐ糸は、千葉久美子先生の元で彼女たちが音楽と共に歩んでいるという所です。
「音楽の絆」は、私たちにも「歌い続けること」の大切さを見つめさせてくれます。
いつかまた成長した彼女たちと同じ舞台で共に歌いたい、それが夢です!!
2.避難者親子が表した「子どもを守り抜く」のメッセージ!!
2016・4・2 「雪の女王」公演 左「さらわれた子どもたち」右「がんばってらサンバ」
今回の「雪の女王」公演大成功の支えとなったもう一つの柱は、避難者親子たちの存在でした。
関西出演者55名のうち、13名(大人5人と子ども8人)もの避難者と共に歌うことのできたことは、この作品の精神的支柱の存在を得た思いでした。
そのため檀・村嶋は関西に避難されている皆さんと出会いを求めて、この一年、各所に出かけて行きました。
ちょうど知り合いのいない東北にも、22回訪問したように、です。
避難者の集会・学習会・交流会、「原発賠償訴訟」の裁判所にも、巡り会いを求める草の根の活動を展開していきました。
その中で確実に一人また一人(一家)と知り合い、「TERRAホール」へ誘っていきました。
これには久一千春さんや関西サポーターズなど皆さんの協力があったればこそでした。
その中で、何と小学校低学年、中には未就学の可愛い子どもたちが入団してくれたのでした。
この参加は、そのお母さんたちも呼び寄せることができました。
この方たちこそ、放射能汚染から子どもの健康を守るために、故郷のすべてを捨てても避難を決意された親御さんたちでした。
その心は、この物語のまさに<子どもを守り抜く>というメッセージそのものでした。
また支援者の一家も入団もしてくれ、おかげで仲良し12人の小さな子どもたちのグループ出演が決まりました。
声をそろえてのセリフもさることながら、物語の最後に、さらわれた子どもたちが、親の元に戻ってゆくシーンは、圧巻の感動を伝えることができました。
それに、公演前に毎週となった練習の送り迎えに福島からパパも駆けつけてくれたり、大きなお腹のママの付き添いも、得られることになりました。
何と、この取り組みの中で二人の赤ちゃんが生まれたのでした。
まさに「いのちを生み出す」集団であったことを感じます。
そして公演を終えても、私たちは、この避難者・支援者の親子(一家)と、ステージの上でさらなる奇跡を追求したいと思うのです。
子どもたちの表現力への可能性を追求したいと思っています。
3.関西人、総勢50名の熱唱・熱演の圧巻のステージ!!
しかしいくら子どもたちが頑張ったといっても、関西の大人たち(子どもたちも含めて)総勢50人の熱唱・熱演の頑張りぬきには公演の大成功を語ることできません。
今回は檀美知生リサイタルとの組み合わせ方式でなく、2時間(1幕・2幕)の「コーラスミュージカル」1本の公演でした。
だからストーリー展開もあっという間にひきつけ、観客の心をわしづかみにしてヤマ場から最後の展開までに一気に観てもらう作品力が大切でした。
それを成し遂げた脚本は、誇りとするところです。
今回改めて書き下ろされた「雪の女王」の物語の焦点を、「放射能汚染」と「戦争」という今日的課題で、観客の心を捉えたのでした。
さらにその作品を表現する力、なんといっても魅力ある合唱力、物語が始まるところに生き生きした迫力ある歌声の存在、「これぞ、コーラスミュージカルっ」が必要でした。
合唱練習は昨年の3月23日から始められ、その間、入団者を募りながら、団員を増やしていく手法を取りました。
2016・4・2 「雪の女王」公演 第二幕初め 戦争の場面 「大パニックの歌」
前半期の9月ごろまでに、主力のキャスト候補を固め、後半は合唱隊のさらなる募集、それも部分出演も可能という形で募っていきました。
「毎日新聞」「朝日新聞」「神戸新聞」「産経新聞」などのマスコミも協力して頂き、「避難者と共に歌う」ことを、話題にした記事掲載は反響を呼び、本当に在り難いことでした。
また気持ちの一致があれば、コーラスミュージカルのステージではいろんな形でのステージ出演を追求しました。
試みの一番は、むろん子どもたちの登場でした。
「メイン子役」は陸前高田AKMYHの子どもたちで、期待通りの大活躍でした。
表現力のあるお芝居や透明感のある5人の歌声は、舞台に大感動を与え、「その他の子役」は舞台に可愛さと活気をもたらしてくれました。
さらには今回初の「ダンスチーム」の登場はとても印象を与えました。「雪の女王」の<吹雪の舞>のダンスで、観客を大いに引き込む力を示してくれました。
自らダンスに立候補の5人の団員は、自分たちで練習時間も設けての熱心な自主練習でのぞんでくれました。
でもその中での一番の頑張りは、やはり<キャスト>たちで、彼らは合唱の中心にもなりました。
それぞれ仕事や体力や家庭との両立で限界ギリギリで挑んだ団員たちでした。
全体練習に駆けつけるのも必死でしたし、特別練習での個別指導も頑張りぬきました。
特に存在感を示したのは主役の「雪の女王」や「博士」をはじめ中堅のキャストたちでした。
実力発揮の歌唱力と演技力で観客を魅了し、個性派の本領も発揮して楽しさを加えました。
始めてキャストを演じたメンバーも、演じることに抵抗を克服、演じる楽しさや生きがいを感じて頑張りました。
だから観客の皆さんからは、「プロみたい」「すばらしかった」の大好評の評価をいただけたのです。
コーラスミュージカルは舞台の、隅々まで生き生きとした出演者で満ち溢れていました。
まとめあげることは大変でしたが、映像も駆使し、一人ひとりその力が発揮できるように隅々まで工夫した演出力も大いに評価されました。
子どもたちを命がけで救い出す<捜索隊> 戦争とお金大好き<ゲッペ総統と大臣たち>
熱演の<雪の女王>子どもたちと対決!! <ダンスチーム>による「吹雪の舞」
観客の皆さまのアンケートから、感動を読み取ってください。
4.専門家のご協力は私たちの誇り!!
そしてこの大成功を支えてくださった専門家のご協力についてふれたいと思います。
まず、舞台の初めから終りまで、ピアノで支えてくださった早川奈穂子さんは、練習ピアノでも、この取り組みの最初から長きにわたり、合唱隊の呼吸をよく呑み、セリフとの掛け合いも理解して、絶妙なタイミングでの物語展開を可能にし、すばらしい腕前で支えてくださいました。
また演技指導の久語孝雄さん、効果音・映像の吉竹雅弘さんは、練習に毎回お付き合いくださり、前から全体を捉えて、的確な指示をしてくださいました。
わざわざ仙台からビデオ映像の高橋賢一さん、写真の木下幸男さんいつもながらの腕前を発揮して、永遠に素晴らしい記録を残してくれました。
そして今回もうひと方の思わぬ応援をしてくださった方、プロの写真家、楓大介さんです。
舞台芸術を追求されている立場の方から、私たちを生き生きと写してくださったことは、まさに感動でした。
そして陸前高田から子どもたちをご指導し、引率・出演までくださった千葉久美子先生には特別の感謝を申し上げたいと思います。
またルナホールのスタッフの皆様、たった1回の合わせであれほど見事に映像・音響・照明・舞台進行をしてくださいました。
最後に「雪の女王」題字の春山和楸さんに深く感謝申し上げます。
皆さん、コーラスミュージカルと作品の心と出演者の思いまでご理解、ご協力くださったことに、私たちは支えられました。
ありがとうございました!!
5.公演1か月前にして「完売宣言」の快挙!!
今回の大成功を支えてくださった観客の皆さまに感謝申し上げます。
来場者数は684人で、制限人数700名ギリギリの数でした。溢れかえる観客に、どの皆さんもびっくりだったようですが、パイプ席もフル稼働して当日を迎えました。
この満員予感は、嬉しいことではありますが、すでに2月末にその予感はありました。
それでこれ以上の販売は、「チケットをお持ちの方でも入場できない」ことを避けるため、「3月1日に完売宣言」をさせていただきました。
団員の手持ちのチケットを回収、とすでに「確約」へのチケット配布と、団内での必死の調整をして、当日にのぞみました。
2016・4・2 「雪の女王」公演 超満員の観客を前に、その幕は降りる!!
予測通りの大混雑の観客には、ボランティアで受付・表方、会場整備をしてくださった会場係、未就学児童への保育係を引き受けてくださった皆様には、本当に感謝申し上げます。
しかし立ち見となってしまったお客様、入場がスムーズにいかなかったお客様には、主催者として、お詫び申し上げます。
今後、一層の工夫と努力をしていきたいと思います。
6.会計報告 -助成の減額と変わらぬ支援金にお礼
今回は①「東北からの招へい費」、及び指導のための②「東北訪問費用」4回分の費用を覚悟してのぞんだ計画でした。
①に関しては、2年前の「奇跡の街」の招へい、昨年の「光る風の街」の招へいでも、何本かの「助成金」が下りて、資金面も無事にすませることができました。
今回も当初より、檀・村嶋はあらゆる助成金のチャンスに果敢にトライしました。
しかし5年目に入って助成金そのものが少なくなり、ハードルも高くなって、応募4本のうち3本で不合格、うち1本も半額に削られてやっと通った状況でした。
チケット完売金や今までの繰り越し金で何とか①に関しては赤字をとんとんに埋める形で乗り切りました。
ただ②の「東北訪問」4回分の、1回分だけは助成金をいただけましたが、あとの3回は檀・村嶋の自己負担金で賄うことになりました。
その中で私たちへの思わぬ支援金をいただくことがありました。
それはフリマ活動での売上金すべてを寄付くださっている「コスモス会」からのカンパでした。
10円~100円の安価な品物を数多く売った尊いお金を、年間3回もお届けくださったのです。
しかも「私の好きなこの街プロジェクト・サポーター」を名乗っての活動です。
そしてこのお金で訪問3回のうちの、2回分の費用にあてることができたことをご報告させていただきます。
本当に、ありがとうございました!!
今回の取り組みは大きなものであったにもかかわらず、赤字を最小限に食い止めることができましたことは、草の根の活動やチケット活動のご協力のたまものであったと、重ねて感謝申し上げます。
7.今後について
この公演直後から、8月21日の「中村哲医師講演会」での、歌の出演練習とチケット売りに専念している私たちです。
今回は組曲「無言館」のソロと合唱練習、と共に避難者親子との支援の歌声で、子どもたちと共に出演をします。
また、同時に4月中旬発生にした「熊本・阿蘇地震」の支援もしていきます。
むろん東北支援は忘れず、続けていきます。
こうしてみると、被災者・避難者と今の日本、何とたくさんの苦難の人々が多いことでしょう。
「避難民」が溢れているアフガニスタンの状況は、これからの災害を予測すると日本も変わらない状況となってきているかとさえ、思えてきます。
そして同時に本当に責任を取るべき行政・公が、「棄民政策」をし続けていることに義憤を感じます。
私たちはこうしたことがらから目を背けることはしたくありません。
できることには限りはあっても、私たちプロジェクトは、弱い立場の人へのやさしい目線を離さず、歌での<草の根の活動>を展開しつづけるつもりです。
今後の草の根の活動から蓄えられた活力が、今回の公演のように再びコーラスミュージカル大公演へのエネルギーに繋がりますことを心から願っています。
〒659-0062
兵庫県芦屋市宮塚町12-19
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